読書『私のカレーを食べてください』幸村しゅう*カレーに纏わるブックレビュー[1冊目]
今回は、カレーに纏わる本のご紹介です。
記念すべき1冊目は、『私のカレーを食べてください』。
カレー小説としての感想と、ストーリーの感想をわけてご紹介します。
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【カレー関連度】★★★★★
カレー関連度は大満足の★5!
スパイスカレーで有名な印度カリー子さんの、カレーレシピも載っていました!
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【あらすじ】
第2回「日本おいしい小説大賞」受賞作! 「お前の売りは何だ?」「私にはカレーしかありません!」----。 古びた喫茶店の装いながら、本格的なスパイスカレーを出す「麝香猫」。そこで働く山崎成美は調理師学校に通う19歳。成美は幼い頃に両親が離婚、育ててくれた祖母も失踪してしまい、天涯孤独の身であった。 そんな彼女の運命を変えたのは、小学校の先生が作ってくれた一杯のカレーライス。成美はその味を自分でも作りたい一心で調理を始め、カレーの奥深さに戸惑いながらも、ようやくきっかけを掴みはじめていた。しかし突然、ある事情から「麝香猫」が店を閉めることになってしまい……。 理想のカレーを追い求める少女と人々の人情が織りなす、おいしい×青春×お仕事小説! ◯編集担当からのおすすめ情報◯ カレーの街、神田・神保町発の受賞作! 巻末にはスパイス料理研究家・印度カリー子氏による特製カレーレシピも収録。 読んで楽しい、作っておいしい1冊です!
«内容紹介(出版社より)»
【著者情報】
幸村しゅう(ユキムラシュウ) 映画助監督、介護予防デイサービス兼鍼灸治療院の経営などを経て、小説を書き始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
«「BOOK」データベースより»
【ストーリーの感想】
まず、物語の展開や構成がとても上手。
幸村しゅうさんのことは知りませんでしたが、非常に読みやすい本でした。
主人公は、山崎成美という19歳の女の子。
彼女の運命は1皿のカレーライスによって変わっていきます。
単なる理想のカレーを追い求めるカレー作品、ではなく、ストーリーも素晴らしい。
彼女の周りにいるキャラクターの個性がしっかりと作り込まれて、描かれています。
心温まる物語だけれど、全てがハッピーエンドに向かうわけでもない。
そこにリアリティさがあり、主人公と一緒になって喜怒哀楽を体験し、いつの間にか読み終えてしまっている...そんな感覚でした。
【カレー小説としての感想】
主人公の女の子からも、著者さんからも、たっぷりとカレー愛を感じました。
始終カレーの話題、最後には印度カリー子さんのレシピが載っています。
※ここからはネタバレ要素があるので、皆さんの判断にお任せしますね。
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まず、作中で出てくるカレーはこちら。
・店長のカレー(大きめ具材のチキンカレー)
・カツカレー(スプーンで切れる柔らかお肉と特製スパイスカレー)
・濃厚エビカレー(生クリーム仕立てのこっくりカレー)◎
・魅惑のキーマカレー(スパイスを効かせた大人のカレー)◎
・濃厚バターチキンカレー(無塩バターを反則レベルで使用した至福テイスト)◎
・私が恋に落ちたカレー(=店長のカレー)
・豚の角煮カレー◎
◎がついているものが、印度カリー子さんのレシピとして載っています。
この本、どのカレーも描写がとても美味しそうで、読んでいるとカレーが食べたくなります。
作中に秘伝の液体ガラムマサラが出てくるのですが、これがすごく気になる!
載っているレシピは簡易版になっているので、この液体ガラムマサラの配合は謎のままなのですよね。
スパイスカレーは毎日のように作っているのですが、基本的にホールとパウダーで作っているので、煮出したスパイスは使ったことがなくて。
読みながら、「やってみたい!やってみたい!」と思っていました。
物語としても、カレー本としても、楽しめるオススメの一冊でした!
紙書籍《単行本:1760円》
それではまた、次回のカレーで!
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